『人類は衰退しました 〈1〉〈2〉〈3〉〈4〉〈5〉』田中ロミオ(小学館)読了

遠い昔に1巻だけ読んでいたが、よく覚えてないので最初から読みなおした。

つまらない話があったり、飽き飽きするような展開があったりもするんだけど、なんというかすごく微妙なところで成り立っていて、ときにフシギな魅力を放つ作品だよね。

このまま滅び行くしかない斜陽の人類という「黒い」基本設定に、かわいい妖精さんを散りばめておおむね話はユーモラスかつパステル調に進む。が、いつでも落としてやれるんだぜと、ときに道端に黒い穴を覗かせるアンバランスさ。このあたりに惹きつけられるんだろう(笑)。

俺としてはいつかその黒さが全開になる日を楽しみにしたいところだが……どうなることやら(笑)。

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『マブラヴ オルタネイティヴ トータル・イクリプス 〈1〉〈2〉〈3〉〈4〉〈5〉』吉宗鋼紀(エンターブレイン)読了

4巻までは読んでいたようだけど、あまり覚えてなかったので最初から読み直す。

5巻になると、唯依がデレきってしまってだらしない感じ。女性キャラも増えてじゃっかんハーレムの匂いが漂い、どうかなと思ったが最後の一線では持ちこたえていた。

が、新キャラに押されて、クリスカ/イーニァやタリサの影が薄くなってたのは仕方ないとはいえ少々残念。

ハード面ではラプターが登場しててちょっとおもしろい感じ。

けどこれいつ完結するんだ?

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『レトロゲームマスター渋沢 〈1〉〈2〉〈3〉』周防ツカサ(アスキーメディアワークス)読了

ラノベの年齢層も上がってきてるようだし、おっさんターゲットのレトロゲーム(FCメイン)テーマというコンセプトは悪くないと思うが、いかんせん完成度が低い。

少しだけリストアップしてみよう。

  • ストーリィは最近のラノベによくあるぶつ切りタイプ(『はがない』みたいなヤツ)で脈絡がない。
  • 主人公が性格破綻。たとえば委員長への態度にも問題があるし、他のクラスメイトの委員長への態度について内心で思っていることも嫌な気持ちになる。
  • レトロゲーがほぼ伏せ字。正々堂々勝負してほしかった。
  • レトロゲーにマニアックさが足りない。俺でもだいたい判るレヴェル。

もう少し練られてればねえ。

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『この中に1人、妹がいる! 〈4〉〈5〉〈5.5〉〈6〉〈7〉』田口一(メディアファクトリー)読了

のたくたと引っ張る展開が続くなか、6巻はいろいろと事態が急旋回してそれまでとは若干違う風味が漂ってた。

まあいずれにせよ早く引導を渡してしまったほうがいいんではないか。

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『グスコーブドリの伝記』宮沢賢治(青空文庫)読了

斜に構えて見るなら、賢治の厨二病的な妄想(「そういう人に私はなりたい」あるいは「鬱屈した若者にありがちな愚劣な英雄願望」)を作品化したもの、ということができるかもしれない。

ただ、それが完全な陳腐に堕してしまわないのは、そこに真摯な想いがあるからではないか。

すなおに表現された「自らを犠牲にしても守りたいものがあるという想い」を(賛成であれ反対であれ)読者が受け止め、考えることにこそ本作品の意義はあるんだろう。

ちなみに序盤は豊かな表現が心躍らせてくれたが、中盤以降ストーリィが展開するにつれ、そういう部分は影を潜める。このあたりもある種強すぎる思いが筆致に現れた結果にも思えた。

『この中に1人、妹がいる! 〈1〉〈2〉〈3〉』田口一(メディアファクトリー)読了

アニメ化作品ってことで読み始めたんだけど、いやぁ……ひどい(笑)。地雷臭は漂ってたけど、想像以上だった。

質が高い作品がアニメ化されるってわけではないんだろうけど、にしても最低限のレヴェルってものはあるんじゃないのか。

いや、それよりもどれだけ女の子のハダカが出てイチャラヴするかのほうが重要なのかね。

1番気になった、というか腹立たしかった、というか脱力したのは主人公の造形。幾多の試練を乗り越え、帝王学を修めた主人公の行動・言動や思考があれですか? まあこれはまったくもって筆者の力量不足が原因なんだが、あまりに白々しくてやりきれない(ちなみに努力だけでレベル5になったはずの御坂さんが努力してる姿が本編でまったく感じられないことにも同様の脱力を感じる)。

とはいえ、手をつけてしまったので、あるだけは読む。

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『織田信奈の野望 〈7〉〈8〉』春日みかげ(ソフトバンククリエイティブ)読了

浅井長政の去就が決着し、黒田官兵衛が登場。

今後の焦点は、竹中半兵衛の陣没がどう扱われるか、まあおそらく女は死なないメソッドなんだろうが。とゆぅかここで蘭奢待が出てくるとは思わなかった(笑)。

そしてなによりそろそろ訪れるはずの本能寺の変をどう描くか。また、それ以降はオリジナルの歴史になるはずなので、それもどう描くか。このあたりが見どころか。

ちなみに全般的におもしろくはない。

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『投資の科学 あなたが知らないマーケットの不思議な振る舞い』マイケル・J・モーブッシン(日経BP社)読了

投資におけるモダンな「常識」をさまざまな分野での例とリンクさせながら短く紹介しており、非常に判りやすい。

基本的には金融・投資の世界を俯瞰してるんだけど、ときどきぐっと近づいて、具体的な投資ルールなども触れてあったりする。

個人的にいくつか気になったことをまとめておく。

  • 「リスク」と「不確実性」を分けて捉える(ブラックスワン)
  • 市場はたいていの場合効率的だが、ときとして非効率に陥る(そしてその瞬間こそに裁定のチャンスがある)
  • PERは「税制とインフレ」「経済の資産構成の変化」「株価リスクプレミアムの変化」などの要因により非定常的であるため、指標としてたいして役に立たない。総じて過去のデータはよくても参考程度にしかならない。
  • 原因と結果は必ずしも結びつくものではない(カオス、後知恵バイアス)。
  • 正規分布ではなくべき乗則を。

うん、やっぱり投資は本気で考えるとおもしろいよね。

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『物理学者、ウォール街を往く。―クオンツへの転進』エマニュエル・ダーマン(東洋経済新報社)読了

もし人生をやり直せるならどんな職業についていたか――。俺はあまりこういうことを考えないんだけど、それでもたまにはそんなことを思う日もある。でもっていろいろ夢想するけど、やっぱりIT関連だなと自己完結しそうになる反面、ただひとつ、金融関係の仕事でもよかったかなとしばしば考える。

金融が持つ巨大なエネルギー(ダイレクトに「カネ」という意味も含めて)と、それを求めて集まってくるエネルギッシュな人間、そのうねりの中に身を置いてみるのも楽しかったんじゃないか、そんなふうに思うことがある。

実際のところ、トレーダーとしてはがめつさが足りないし、クオンツとしては頭のキレが足りないし、あまり向いてないんだろうという自己分析はあるけど(あ、もちろん身を置きたいのはGSやモルガンクラスな。野村證券とかノーサンキュー)。

話はそれたけど、本書は金融業界が爆発的な進化を遂げるなかで、ひとりの(一流の)学者がウォール街を目指すことになった過程が自伝的に語られている。ただ、まさに学問の世界から金融の世界へ転身を図ったその理由や葛藤(あったのは間違いない)が今ひとつはっきり描かれていなかったのが残念。

とはいえ、筆者がたどった人生は大変興味深く、読み物としてもおもしろかった。

P.S.
筆者が金融モデルはあくまでモデルでしかなく、金融の大統一理論はなしえないだろうと語っていたことに安心感を覚えた。今在まで読んできた書籍では、モデル万能とまでは言わないが、それに類する書き口のものが多かった気がしたので。問題は現実とモデルの間をどうやって埋めるか、というところだが、「直観」になるのかなあ。でもそれって結局はモデルを精緻化する方向だよねえ……。

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『ふたりの距離の概算』米澤穂信(角川書店)読了

マラソン大会に過去のシーンをカットバックしながら、時間的制限の中で折木が謎を解く。工夫の跡は見られるが、ミステリとしては(以下略)。それより古典部メンバーが2年に進級、後輩も入り(?)、里志と摩耶花が付き合い出す……。こういった人間関係の「距離の概算」を測る青春群像劇のほうが主題。内情は知らないが、もしトリックがボトルネックとなってシリーズの歩みが遅いのなら、発送は逆転してもいいと思う。

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