『All You Need Is Kill』桜坂洋(集英社)読了

読み始める前、結構期待していた。ループものだし。おおまかな設定(同じ戦場を繰り返していく)は聞き知っていたので、どういう着地をさせるのかにも興味を持っていた。

読了後、最初の感想としては、『宇宙の戦士』と『エンダーのゲーム』を足して、ラノベエキスで7倍ぐらいに希釈したような作品だなと。

結末自体は(個人的にはあまり好みではなかったが)よいとして、その螺旋感の薄さが残念だし、そもそもいろんな設定も詰めきれてなくて(あるいは描ききれてなくて)「これってどうなの?」な部分が多かった。ヒロインの造形もこの作品で……という感じだったし(この点については、うまくやればおもしろいものになった気はする)。

が、そういった欠点(通常なら相当な文句を言うであろう)はあるものの、意外に好意的に評価している自分がいた。なぜなんだろうと考えると、それはラノベの枠内(スーパーダッシュ文庫)でこういう作品に挑戦しようという意気込みを買ったからなのかなと。

SFとしては甘々、でも心意気やよし。そういう作品かな。ぜひその意気込みを次に活かしてほしい……と思ったが、桜坂さんのそれからってあんま聞かないな。

『女騎士さん、ジャスコ行こうよ 3』伊藤ヒロ(KADOKAWA/メディアファクトリー)読了

なんの内容もなく、そのことを作者も自覚しながら書いているため、ストレスなく読め、暇つぶしになる、というのが本シリーズの評価だったんだが、今回作者が色気を出したのか(もともと書きたかったのか)、自治体の町おこし的環境整備の話とか、自治体とボランティア的職員の関係とかとぶっこんできたため、話がとっちらかった印象がある。

本作品について、個人的には許容範囲だったが、あまりブレてはいかないほうが楽しめるのかなという気はする。

それから最後に入れてきたばあちゃんネタ。ミステリィではよくあるネタで、どのように叙述するかが作者の腕の見せどころなんだが、本作品ではあまりにも乱暴かなと。

女騎士さん、ジャスコ行こうよ3 (MF文庫J)

  • 著者/訳者:伊藤 ヒロ
  • 出版社:KADOKAWA/メディアファクトリー( 2015-05-25 )
  • 文庫:261 ページ
  • ISBN-10 : 4040676483
  • ISBN-13 : 9784040676487

『吸血鬼と精神分析』笠井潔(光文社)読了

図書館で見かけてなんとなく手にとった矢吹駆シリーズ第6作。間をだいぶすっ飛ばしてるがいいだろう。

正直ミステリィとしての輝きはあまりなく、ほぼ哲学論議が主題。今回、その部分をあまり楽しめなかったので、俺にとっての本書の魅力は低かった。

あ、でも駆とナディアに会えるというのは、それだけで魅力だな。懐古主義と言われようが、やっぱり懐かしい顔に再会できるのはうれしいものだ。むろんそのときの彼・彼女らが輝いていればなおのことうれしいんだが。

『村上海賊の娘 上巻・下巻』和田竜(新潮社)読了

前半の退屈な展開と主人公のヘタレ具合を少々ウンザリしながら読んでいたが、後半に入って一気に潮目を変え、1日の戦いを濃密に描くあたりは、これぞエンターテインメントと感心させられた。

が、「のぼうの城」でもそうだった(原作未読。映画の話)んだが女性主人公のその後が……。史実でとっている行動が、本書で描かれている姿からそのまますなおには想像できないため、ああ、これフィクションだねと襟元を掴んで一気に引き戻される感じが個人的にはいただけない。

まったく気にならない人もいるんだろうが、俺はちょっとなあ。


村上海賊の娘 下巻

  • 著者/訳者:和田 竜
  • 出版社:新潮社( 2013-10-22 )
  • 単行本:499 ページ
  • ISBN-10 : 4103068833
  • ISBN-13 : 9784103068839

『ダンジョンに出会いを求めるのは間違っているだろうか1~8、外伝 ソード・オラトリア 1~4』大森藤ノ(SBクリエイティブ)読了

一発ネタのような作品や、作者の中でもぼんやりとしか方向性が見えなかったような作品でも、シリーズが続いていくうちに次第に洗練されたり、方向性が明確になっていったりして思わぬ成長を遂げるものがある。

本書もそのたぐいだと思う。読んでいくうちにいろんなことを考えていたのだが、1巻を読んだ時から時間も経っているため、忘れている感想も多い。なるべく思い出しながら、考えていたことを個条書きにしてみようと思う。

  • ステイタス・スキル・アビリティetc. 初見の印象は、「ゲイム的、あまりにゲイム的」。小説内の地の文章でもこういったものがしれっと出てくるようになったんだなあとある意味感慨深かった。
  • ホビットがパルゥムになったのは、権利関係だろうな。
  • いざという場面でのヘスティアの包容力半端ない。さすがリアル女神。
  • 冒険者が次々に死ぬような厳しい世界観のはずなのに、そういった泥臭い部分がまったく感じられない。まさにゲイムのようにデジタルで清潔な世界。うそ臭さとうさん臭さが臭う。あ、皆さん遠征の際のトイレってどうしてるんですかね?
  • これはもしかして貴種流離譚か? いや、そうでないにせよ、意外とギリシャ神話(主に?)を踏まえた造りになっていて、おもしろいかもしれない。そこからどう逸脱していく(させていく)のかが問われそうではあるが。
  • 主人公ベルのスキル「憧憬一途(リアリス・フレーゼ)」。アイズへの想いが彼の成長を形作ってる。もしそのアイズがいなくなったら? たとえば彼女が殺されて、スキルを失ったベルの喪失と再生の物語になったりしたら相当読み応えのあるものも作れそうだ。ま、ないだろうけど。
  • しかし、現正式タイトル『ダンジョンに出会いを求めるのは間違っているだろうか』と、旧タイトルかつ現サブタイトル『ファミリア・ミィス』は、物語の主題自体が異なっている。これは、Web時代と書籍発行時で構想が変わったということだろうか。単にキャッチーにしただけ、なんていう度しがたい話ではないだろう……さすがに。
  • 『ソード・オラトリア』を読んで――。あ、やっぱアイズ死亡とかないね。完全準主人公だね、彼女。
  • 7巻の春姫。これはひどかった。娼婦の問題(そして娼婦と英雄の関係)を真正面から描くのかと期待してたら、最後の最後にひどい肩透かし。鎖骨のあたりで嫌な予感はしてたが、なんの工夫もなくそのまま処女でした、とか。床入りで娼婦が気絶したからってみんながみんな放っておくかよ。結局俺TUEEEと処女信仰に迎合してるだけなのかと思うと心底ガッカリ。まさに古の英雄譚から真に一歩を踏み出す新たな英雄譚(この件については実際はそうでもないと思うが、少なくとも心意気として)の始まりを告げられたはずなのに。はっきりとこの展開は物語の汚点だったと思う。ま、ダンジョンでの死にせよ、この作品は、辛いものや汚いものと真っ向から向き合う気がないというのがよく判った。
  • 読んできて感じたが、もしかすると『ダンジョンの出会い』も含まれて『ファミリア・ミィス』になるんだろうか。
  • 8巻における各キャラの思慕の形の表現はどれもなかなかだった。想いを再確認するリリなんかは定番だけど気に入った。最後のおねーさんキャラも。
  • なかでも8巻におけるベルとヘスティアの物語は大変大変よかった。あとがきで作者も書いていたとおり、人間と神の愛の形(の道標)を示せたのは、今後にとって大きな収穫だったと思う。俺は断然ダンジョンの出会いより家族の物語派なので、アイズとベルというしょーもない組み合わせには大反対(まあ謎を持った2人なので、これからいろいろ話がぶっこまれて印象も変わるかもしれないが)。誰かといえばリュー推しだけど、ヘスティアでもリリでもいい。まーだいぶ落ちるがシルでもいい。

以上思いついたことを書き連ねてみた。最後に書いた人間と神の愛について。形を示したのはえらいと思うが、ベルとヘスティアの関係はあーなるのかなーとか考えると、個人的にはあまり楽しくはない方向になる。

まあ、キレイなものだけ描いていくつもりに思える部分は相当気に食わないけど、楽しみな部分も多い作品。今後も期待する。




ダンジョンに出会いを求めるのは間違っているだろうか (4) (GA文庫)

  • 著者/訳者:大森 藤ノ
  • 出版社:SBクリエイティブ( 2013-12-13 )
  • 文庫:336 ページ
  • ISBN-10 : 4797375140
  • ISBN-13 : 9784797375145





ダンジョンに出会いを求めるのは間違っているだろうか外伝 ソード・オラトリア (GA文庫)

  • 著者/訳者:大森 藤ノ
  • 出版社:SBクリエイティブ( 2014-01-11 )
  • 文庫:320 ページ
  • ISBN-10 : 4797375531
  • ISBN-13 : 9784797375534



『はたらく魔王さま! (12)~(13)』和ヶ原聡司(KADOKAWA/アスキー・メディアワークス)読了

かなりいろんな展開があった2冊だけど、ストーリィの根幹としては、「何をしてきたのか」から「何をするのか」に主題が移りつつある。

個人的には「何をしてきたのか」の部分は非常に重要で、物語の登場人物の間で解決しつつはあっても、その他大勢のエンテ・イスラの民や魔族にとってはまったくもって未解決なので、その点は大問題だと考えている。

まあまったくなおざりにされることはないとは思うが、主題から外れつつあるところはちょっと気になる。

それとは別に「乙女たち」の心情部分については、共感できるとか心を打つとか言ったたぐいのものではないが、読んでいてもすっと馴染んでいくような印象でなかなかよかった。

まあ個人的には千穂よりも恵美や鈴乃にエールを送りたい。


はたらく魔王さま! (13) (電撃文庫)

  • 著者/訳者:和ヶ原聡司
  • 出版社:KADOKAWA/アスキー・メディアワークス( 2015-06-10 )
  • 文庫:344 ページ
  • ISBN-10 : 4048652052
  • ISBN-13 : 9784048652056

『艦隊これくしょん -艦これ- 陽炎、抜錨します!4 』築地俊彦(KADOKAWA/エンターブレイン)読了

安心の『かげばつ』。

(古き良き)ジャンプ的なアツい展開は、お祭り騒ぎの今回でも健在。まだまだダレるようなこともなく、楽しめた。

あいかわらず大型艦の影が薄いのは、長門嫁の俺にとって残念ではあるが。

特装版 艦隊これくしょん -艦これ- 陽炎、抜錨します!4 (ファミ通文庫)

  • 著者/訳者:築地 俊彦
  • 出版社:KADOKAWA/エンターブレイン( 2014-12-26 )
  • 文庫:254 ページ
  • ISBN-10 : 4047301132
  • ISBN-13 : 9784047301139

『現代日本にやってきたセガの女神にありがちなこと (1)~(2)』師走トオル(アスキー・メディアワークス)読了

作者が元セガ関係者だけあって、相当ディープなネタもぶっこまれており、かなりのおっさんホイホイ。

ストーリィがどうのとかいう作品でもないので、思いついた時に出してもらえればそれでいい感じ。

しっかしPCエンジンがガン無視されているのはいただけんな。

現代日本にやってきたセガの女神にありがちなこと (電撃文庫)

  • 著者/訳者:師走 トオル
  • 出版社:アスキー・メディアワークス( 2013-12-10 )
  • 文庫:264 ページ
  • ISBN-10 : 4048661590
  • ISBN-13 : 9784048661591