『借金を返すと儲かるのか?』岩谷誠治(日本経済新聞出版社)読了

年末の大掃除で出てきた、積読のまま忘れられていた本のうちの1冊。

P/L、B/S、C/Fをざっくりまとめて理解しようというコンセプトで書かれている。図解が豊富で1時間ほどで読め、かつ非常に判りやすい。

本書の特徴である、P/LとB/Sをブロックにして重ねるという説明方法は見事(というか、そもそもそれがおもしろいうという評判を聞いて購入したんだった)。

また、減価償却も同システムで鮮やかに説明されていて、個人的にはこの点にかなり感心させられた。

会計・決算書の入門書として非常によいと思う。

http://www.amazon.co.jp/%E5%80%9F%E9%87%91%E3%82%92%E8%BF%94%E3%81%99%E3%81%A8%E5%84%B2%E3%81%8B%E3%82%8B%E3%81%AE%E3%81%8B-%E5%B2%A9%E8%B0%B7-%E8%AA%A0%E6%B2%BB/dp/4532314615

『あなたのための物語』長谷敏司(早川書房)読了

生とはなにか、死とはなにかという問題、愛とはなにかという問題、知性とはなにかという問題、ひとつだけでも重いうテーマが、伊藤計劃ばりのSFガジェットをまといながら渾然一体となって襲い掛かってくる。

正直1回では消化しきれなかったけど、それでも考えさせられる部分は多かった。

いつかじっくり再読したいと思う。必要なエネルギーが半端じゃないが……。

ところでタイトルを見たとき、『あなたの人生の物語』のオマージュか、と思ったけど、特別な関連は感じなかった。

『永遠の0』百田尚樹(講談社)読了

まず筆者の百田氏について、そもそもいい印象を持っていなかった。それは、Twitterでの憲法9条についての発言に代表されるような思想に同意できないからだし、なによりその表現方法から透けて見えるものが下品に感じられて仕方なかったから。あれははたして「立派な日本人」の言うことなんだろうか?

そんな気持ちもあって意図的に避けてきた同氏の著書だけど、本書の映画版のVFXがなかなかよいというウワサを聞き、見に行くことにしたので、初めて手を付けてみた。

肝心の内容について、本書は以下の2本の柱で構成されていたと思う。

  1. 戦争を戦った人の描写
  2. 主人公の死んだ祖父、宮部が取った行動にまつわる謎

まず2。結論からいうと、相当肩すかしだった。ミステリ的なカタルシスを期待しながら読んでたので、そもそもそれが間違いだったんだろう。ただ、それを差し引いても、宮部が最後にした決断の意味の大きさがあまり響かなかった。もちろんいろいろと補完はできるけど、もっと彼の懊悩を伝えてくれてもよかったんじゃないか。

次に1。真珠湾から特攻まで、日本海軍全史の美味しいエッセンスを抽出といった趣で、戦史物を読んだことのない人にとっては新鮮だったんだろう。エッセンスというか、ラバウルのあたりは『大空のサムライ』の搾りかす、といったほうが正確かもしれないけど。また、歴史観について警戒しながら読んだけど、それほど異を唱えたいところはなく、これは意外だった。

ただ、(前線の)兵士たちも1個の人間だったということを強調したいあまり、皆が皆家族や妻・恋人のために戦っていたかのような(あるいはそれらを大切なものとして捉えるようになった)描写はしっくりこなかった。ノンフィクションに片足を突っ込んでるんだから、もう少しヴァリエーションがあったほうが個人的には納得がいったように思う(そう考えると『炎の門』は説得力があった)。

また、マスコミへの糾弾が鋭かった。高山という人物の造形がステレオタイプでうんざりしたが、多くのマスコミが戦争への道を先導し、戦後十分な反省もせずに臆面もなく転向したという指摘には完全に同意できる。加えてそれに煽られた民衆の責任について、本書では弱い指摘にとどまっているけど、こちらも相当大きいだろう。熱狂した民衆に押され、マスコミはさらに強硬になる。完全に正のフィードバック。結局のところ、戦争の責任は日本人全員にあった。

と、同意できるところもあったけど、根底に流れる「今の日本人はたるんでる。一所懸命アジア・太平洋戦争を戦った昔の日本人はえらかった」という主張がどうにも感性に合わなかった。金色長髪のにーちゃんが、じーさんの戦争の話を聞いて、黒色短髪に変えたシーンなんかはバカバカしかった。

そんなこんなで読後感はあまりよくなかったけど、いろいろと考える機会を与えてもらえた小説ではあった。

結局日本はABCD包囲網以降どうしたらよかったんだろうね。あるいはもっと遡って日露戦争以降。今ふと思ったんだけど、これを中韓の人と一緒に考えるってのはどうなんだろう。俺が知らないだけであるのかな。あるんだろうな。

『SQLアンチパターン』Bill Karwin(オライリージャパン)読了

出版当初から読もうと思いながら、先延ばしになっていた本書。正月を利用して読了。

どれだけ新たな知見が得られるんだろうとかなり期待してたんだけど、読んでみると、取り上げられているのは多少なりともRDBMSを使用していれば誰しも突き当たるであろう問題、そして検討の結果得られるであろう結論が多くを占めており(余談ながら、各所でも話題になったとおり「IDリクワイアド」はいろんな考え方ができそうだ)、正直ちょっと肩透かし感があった。

ただ、どなたかが指摘していたけど、本書の最大の功績はSQLにおける「間違い」をアンチパターンという形で整理し、それぞれ命名したってことだろう。SQLについての議論で「これは「サーティワンフレーバー」だから再設計すべきなんじゃないか」で意思疎通できるのは、コミュニケーションコストの大きな節約になる。

SQLに携わる人間にとっては、やっぱり必読の書だった。

http://www.amazon.co.jp/SQL%E3%82%A2%E3%83%B3%E3%83%81%E3%83%91%E3%82%BF%E3%83%BC%E3%83%B3-Bill-Karwin/dp/4873115892

『ギャルゲヱの世界よ、ようこそ! disc2』田尾典丈(エンターブレイン)読了

本書は前作にも増して、考えた設定をそのままぶつけてきた感が強かった。

ところが前作より複雑にもかかわらず、こなれていないため、読みにくくかつカタルシスもないような状態に……。

このまま続けていって大丈夫? というような出来だったなあ。

『ギャルゲヱの世界よ、ようこそ!』田尾典丈(エンターブレイン)読了

もともとシナリオライターさんってことで、職業柄感じていた(んだろう)ことをメタ部分で取り込んだ作品。着目点はまあいいと思うけど、少なくとも本書では、取り立てて斬新な視点が提供されたわけではなかった。でもこの方向性でおもしろい作品ができる可能性は十分あるんじゃないか。

あと、いきなりゲイムの設定が現実に反映される(これはのちのち説明されるのかな?)というような無理めな設定だとか、「小説」ではなくて、「シナリオ」を読まされてる感があるところだとかをあんとかしてもらえるとより読みやすい。

しかしこれで7巻だか8巻だか出てるようだ。基本的に一発ネタの話だと思うんだけど、いったいどうしていくんだという興味は非常にある(笑)。いろんなメタをぶち込んでくるのかね。

『マブラヴ オルタネイティヴ トータル・イクリプス 6 膺懲の火影』吉宗鋼紀(エンターブレイン)読了

「シュヴァルツェスマーケン」を読んだ後だと、「トータル・イクリプス」の世界は実に牧歌的に見えてしまう。

読んでいて楽しくないかというと決してそうではないんだけど、出版頻度が低く待たされる感が強いこととも相まって、なんとなく物足りない気分になってしまう。この点はまとめ読みだと感じないのかなとは思うけど。

ともあれ次巻はアクションで派手に動くのかな。

『瓶詰魔法少女地獄』安藤白悧(講談社)読了

なんとなく手にとって読んでみたけど、続編だったのかな。魔法少女の系譜をたどったり、ミステリ的な伏線がはられそうになったりして、「お?」とか思うところもあったんだけど、結局ダメでしたねー。

なんつーか『まどマギ』以降、低品質な魔法少女モノの出ること出ること……。