超短編連作モノ。男の娘が主人公だが、女装趣味というようなレヴェルを超えて、性同一性障害レヴェル(と本人は主張している)ところが、ラノベではあまり見ないところか。このあたりの料理次第ではユニークな作品になるかもしれないが、個人的にはあまり興味を惹かれない部分。まあゆるふわな日常をさらっと読んで楽しむという作品だろう。
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『のうりん 3~5』白鳥士郎(ソフトバンククリエイティブ)読了
2巻ラストであった「主人公をおいてけぼりにしてまさかのダブルヒロイン百合展開!」は早々に回収されたけど、相変わらず狂気じみた展開は続く(笑)。
が、そのなかでときおり日本の農業に関する真面目な問題提起が現れる。そのミスマッチがなんとも奇妙な感じ。
パロディ満載の最近のラノベっぽさに辟易する瞬間もないことはないけど、一種独特な感じは嫌いではない。
最後に何点か。
- そもそも日本の農業のいびつさは補助金ズブズブで単独で「業」として成り立たないことにある。多くの農家が潰れようが、この形態をやめないと、みんなのためにならない。
- 食料自給率云々については、いったいどういう事態を想定して自給率を高めることの重要性を説いているのか。世界で食料が足りなくなるような事態か? それとも戦争により日本が孤立する事態か? シナリオもなしに闇雲に食料自給率を上げるより、比較優位の考え方に沿って、世界の平和のために努力するほうが生産的だろう。てゆぅか、そういったケースではエネルギーの自給についてはどうすんだ?
- ちなみにこれは当然ながら日本での農業を否定してるわけじゃない。経済学的に(あるいは趣味として)意味があるなら大いにやるべし、さもなくば、ってこと。
- 畜産についてはどう弁解しようが「野蛮」な行為。宇宙人(邪神でもいいけど)が現れて食料にするために人間を家畜にしたとしろよ。いくら大切に世話されたとしても、最後に殺されて食われるんだとしたら、そいつの顔めがけてつばを吐くだろうに。まあそれでも苦痛のなかで殺されるよりは痛みなく殺されるほうが「マシ」だから、そういう努力はあっていいと思うけど。だからといって「ありがとう」とは言えんわな、フツー。
次からも期待。
『のうりん 1~2』白鳥士郎(ソフトバンククリエイティブ)読了
「ラノベ」と「農業」の融合につぎはぎ感があり、読んでいると不整地を走っているような違和感がある(たいして『銀の匙』なんかは素晴らしく融合しており、高速道路の安定感)。
が、ストーリィ上のポイントとなるところはおさえてるので、まあなんとか読めなくはない。
それよりなにより2巻最後の超展開には笑った。主人公の耕作がいいこと言ってヒロインの林檎との距離が縮まった、と思ったらまさかあんな展開が待っていたとは……(笑)。ああいうことができるなら今後も期待できる(笑)。
『ベン・トー 9.5 箸休め~濃厚味わいベン・トー~』アサウラ(集英社)読了
- 『ベン・トー』はやっぱりサトウの変態話がおもしろい。
- 正直著莪とサトウの関係は読んでてあまり楽しくない。
- 槍水の昔話も楽しくない。
- 俺的には梅様がメインヒロインなんだが、残念ながら白粉一筋……。
- アオちゃん大丈夫?(笑)
といったところか。
『ささみさん@がんばらない 6~7』日日日(小学館)読了
着地点は若干遠のいた印象はあるが、別に延々引っ張ることもできる作りなので、まあ人気が出ればそういうことにもなるだろう。
今回現れた「ラスボス」が真のラスボスなのかどうか……。
しかしインド神話はともかく、クトゥルフまで引っ張り出してきた(笑)。
あとはお兄ちゃんがやっぱりヒルコだったねというところか。
『ささみさん@がんばらない 1~5』日日日(小学館)読了
巻を重ねるごとにうまくシリーズを展開してるなという印象を強く持った。
日本神話がベースだよ
↓
ストーリィの最終的な着地点を明らかにするよ(アマテラスの力のタマへの移譲)
↓
日本神話をいろいろとつまみ食いして話を広げるよ
↓
世界に飛び出すよ(まずは1番メィジャーなギリシャ神話だよ)←イマココ
で、世界に飛び出したところでもネトゲを取り込んで作風にヴァリエイションを持たせたりもしてるし。
どこまでが計算の中にあったのか判らんが、上手にテリトリィを広げてる。まあ広げたことによって最終的な着地点の影が霞んだが、最後、ググっとフォーカスしてちょっとお涙ちょうだい的にすればまとまるように思う。引き続き読みます。
ところでお兄ちゃんはヒルコかなと思ってるがどうだろ?
『STEINS;GATE─シュタインズゲート─ 円環連鎖のウロボロス(1)~(2)』海羽超史郎(富士見書房)読了
とにかくの大ヴォリューム。2冊で1400ページほど?
ただ、その大容量をあますところなく発揮し、原作のエピソードに沿いつつ、ときおりオリジナル要素を挟みながら、エピローグに持ってった。
原作の雰囲気も壊していないし、ノヴェライズとしての完成度は非常に高いと思う。
しかしこうやって読んでみると、シュタゲって突っ込みどころ満載だなぁ。あのラストの展開で全てが吹っ飛ぶからいいようなものの、時間テーマとしては荒い。いまさらな話だけど。
『なれる! SE8 案件防衛?ハンドブック』夏海公司(アスキー・メディアワークス)読了
なんというか、前巻から引き続いて虚無感を感じさせる若干の鬱展開。
現場でできることには限界があって、大抵の場合、決定打は場外戦だっていう。
もちろん工兵たちが現場で可能な限り力を振り絞ったことは論をまたないんだけど、Webベースのスイッチマネージャなんて完全に噛ませ犬だもんなあ。
悲しいけどこれ、ビジネスの現実なのよね。
ともえれ全体的な出来はよかったと思う。シリーズが続いたことで、どんどんいろんなとこへ切り込んでもいるし。次巻も楽しみ。
ところで……FlexLinkって知らなかった。調べたらL2のVRRPみたいなもんなんだね。まだまだ勉強が足りぬ……。
『魔法少女育成計画 restart (前)~(後)』遠藤浅蜊(宝島社)読了
期待はずれだった前作。ということは即ちハードルが下がったということで。
今作はおもしろかった。舞台を現実世界から仮想世界に移して、魔法少女(現実世界の人格メインではないという意味で)に的を絞ったことで、ストーリィのダイナミックさが増したように感じた。RPG的仮想世界だったのもマッチしてたし、若干のミステリィ的要素もいいアクセントだった。今回ぐらいの期待度で読んでたら前作も楽しかったんだろうなあ……。
まあとにかくどんどん拡張可能な世界観なので、マンネリには気をつける必要はあるけど、今後もシリーズが期待できる。
クラムベリー話を引っ張るのもまだいいと思うけど、個人的には現実世界で世界を股にかけた魔法少女のガチバトルを見てみたい。
アニメ化確率かなり高めだね。
『なれる! SE7 目からうろこの?客先常駐術』夏海公司(アスキー・メディアワークス)読了
今回は、政治が絡んだ客先常駐の炎上案件で、現場ではよく耳にするエンジニア阿鼻叫喚の図が繰り広げられる。
紆余曲折の後、幸運もあって事態の収拾が可能だったが、実際の現場ではこんなふういくことはまずない。
主人公の工兵は「逃げることは誰でもできる」「自分よりずっとモチベーションや技術が低い者でも逃げ出すことは可能で、一旦逃げてしまえばそれと同じ」で「「自己都合退職」という履歴が残るだけ」だから「それは嫌だ」と言っているがまったくもって同意できない。
梢が語る能力・作業に対し、正当な対価を要求する姿勢こそプロとしての矜持だと思う。
厳しく言えば、工兵のような態度こそ他のエンジニア(それに工兵自身も)を苦しめる元凶だろう。
そしてサイアクなのはスルガの社長。
室見と工兵だから切り抜けることができたが、労災だとか自殺だとかそういう話になっていてもおかしくない事態だった。
社長が彼らの資質を見極めた上であえてアサインした、ということならまだしも(まあ藤崎というバッファーで吸収させていたという解釈になるのかね)、そのような記述も伏線もない。
シリーズが続けば、なんらかのフォロー(営業から見た風景)はあるのかなとも思えるが、それでもこの社長の下で働きたいとは(今は)思えない。
今回はいろいろと議論するところの多い話だったな。
最後に。巻末のIT説教部屋。メイルシステムの説明だったが、例示ドメインに「tsunakan.hoge」はないだろう。「example」を使おうや。