『新世界より』貴志祐介(講談社)読了

物語の語り口は実に心地よく、幼年期・少年期・青年期の心の動きが繊細に表現されており好感が持てた(みんなちょっと賢すぎるきらいはあるけど)。

が、本書の世界観自体は吐き気を催すほどグロテスク。さらに、一歩離れて眺めると、そのグロテスクさを冷笑するかのように書いているようにも見える。(少なくとも世界観のグロテスクさは)もちろん作者の意図したところなんだろうけど、個人的にはあまり相容れないし、何度も読み返そうという気がしない(今のところ……)。

というか、本書の設定にはツッコむところも多いはずで、超能力の抑制にはその方法しかなかったのかという根本的なところからしてすでに疑義を呈することは簡単なんだけど、その気力すら失せてしまう。

あまり気持ちいいものではないけれど、爽やかさとグロテスクさが奇妙に入り混じった不思議な感覚は、一度味わってみても損はないんじゃなかろうか。

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